○2023年3月をもちまして本装置は販売を終了いたしました。
ある日、四国計測工業に農業組合の人が訪ねてきて、思わぬ依頼が舞い込んだ。
「 ネギの結束装置?・・・なぜ、私たちに相談を? 」
「 泥を落とす。束ねる。箱詰めする。ネギは収穫して店頭に並ぶまでの中間作業に時間と手間がかかります。
特に束ねるのが大変なんです! 年間を通してもっと大量にネギを流通させるために、御社の技術で何とかしていただけないでしょうか? 」
「 ・・・お返事する前に、一度ネギ農家を見学させてもらえませんか? 」
部長はネギ農家を訪ねた。
「 ひとつひとつ手作業で束ねていらっしゃる。これは大変そうだ 」
「 ええ、特にご高齢の農家さんには負担が大きくて・・・ 」
「 わかりました! 作ってみましょう! 」
「 ありがとうございます! 」
早速、社内会議が行われた。
「 ムチャです!うちは制御機器メーカーですよ! 」
「 いや、力を制御してネギを傷めずに
束ねられたら何とかなるかもしれない! 」
「 それだ! 俺たちの制御技術で、
農家さんの力になるんだ! 」
しかし、開発は困難を極めた。
「 いけいけいけいけ! 」
「 ネギが流れてくるのが遅い!
全体的にスピードアップできないか? 」
「 ああっ! またネギが切れた! 」
「 ダメだ! もっとネギに優しく! 」
「 部長、もう、限界です! 」
「 こんなモノ作って売れるんですか!?
部長の意見は理想論だ! 」
反対意見も出はじめたその時・・・
「 みんなあきらめるな!
売れるモノづくりだけじゃダメなんだ!
助けるモノづくりこそ、俺たちの誇りだ!」
「 うおおおおおおおおおお! 」
「 もう1回トライしよう! 」
「 絶対完成させて、
農家の皆さんを助けましょう! 」
その後も議論とテストを何度も繰り返し、開発は続けられた。
しばらく経ったある日、部長は会社に農業組合の人を招待した。
「 ついにできました! 名付けて『ネギ計量結束装置』です! 」
ネギ結束装置のスイッチが入れられた。
「 すごい! テンポよくスピーディーにネギが束ねられていく! 」
「 これからも安心して美味しいネギをたくさん作ってください! 」
「 あれ?部長、泣いてるんですか? 」
「 バカヤロウ!ネギが目にしみただけだ! 」
その後、ネギ計量結束装置は全国のネギ集荷場に導入され、
結束作業は飛躍的に効率化された。