ある日の四国計測工業のお昼休み。
「 俺のステーキ弁当、うまそうだろ?お前も食うか? 」
「 僕、生臭いから肉、嫌いなんですよ 」
「 熟成したら臭みもなくて美味しいんだろうけど・・・ 」
ところが午後の企画会議で、
その会話からアイデアが生まれた。
「 うちの制御技術を使って、
何かアイデアないかな? 」
「 肉の熟成装置を作りませんか? 」
「 肉って、うちは制御機器メーカーだぞ 」
「 今は熟成肉ブームです。
うちの制御技術を応用すれば
これまでより短期間で臭みのない、
美味しいお肉ができる! 」
「なるほど、それは面白いアイデアかもしれんな! 」
こうして開発に取り掛かるが、
会社上層部の反応は冷ややかだった。
「 うちは食品メーカーじゃない! 」
有名シェフに相談しても・・・
「 あんたら、肉をなめてるのか! 」
門前払いされてしまう。
会社の同僚たちも一人、また一人と
プロジェクトチームから離れていった。
「 やっぱりうちじゃ作るの無理なのか?
でも、こんなところであきらめるなんて嫌だ・・・ 」
「 いいねぇ 」
「 あ、社長!? 」
「 僕は肉が大好きなんだ。
最高の熟成肉、楽しみにしてるよ! 」
「 社長・・・絶対に、作ってみせます! 」
若手社員はその後もコツコツと
開発と研究に明け暮れ、
やがてついに試作品が完成。
以前、門前払いされた
有名シェフに試食をお願いした。
「 あの、どうでしょうか? 」
「 ・・・う、美味い!
短期間で見事に熟成できている! 」
これは熟成肉の革命に
なるかもしれません! 」
「ホントですか!?ありがとうございます!」
「 ただしひとつだけ注文があります 」
「 注文? 」
「 ぜひうちの店に置きたいからデザインをもっとオシャレにしてください(笑) 」
「 や、やったああああああ!!! 」
その後、肉の熟成装置は「エイジングブースター」と言う名前で完成し、
プロのシェフや肉にうるさいお客さんからも大好評。
マスコミにも取り上げられて話題になった。
そして、あの約束も・・・
「 社長、エイジングブースターで
作った熟成肉、いかがですか? 」
「 最高〜♪ 」